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国民投票後の英国と欧州連合(EU)


           大阪商業大学総合経営学部教授・経済学博士・中津孝司
 




  

 
   

英国で国民投票(referendum)が実施されたその日,最新の人口統計が公表された。それによると,2015年に英国へ流入した移民の人数は33万5,600人の純増で過去最高を記録したという(1)。特に,20代,30代といった年齢層の増加が目立ったと報告されている。

移民流入の結果,英国の人口規模は対前年比0.8%増の6,510万人(うちイングランドは5,480万人)に増加した。移民を除く自然増が17万1,800人であるから,その2倍の移民が英国に渡ったことになる。

辞任した保守党のデービッド・キャメロン前首相は英国への移民を年間10万人以内に抑制すると選挙で公約していた。この公約が順守できていない結果となった。この移民問題が英国社会で深刻化しているのである。2004年5月にポーランドがEUに加盟した時期を皮切りに,英国には中・東欧諸国から移民が大挙して押し寄せるようになった。

2004年5月にはポーランドのほかにチェコ,エストニア,キプロス,ラトビア,リトアニア,ハンガリー,マルタ,スロバキア,スロベニアが一斉にEU加盟に漕ぎ着けている。2007年1月にはルーマニアとブルガリアが,2013年7月にはクロアチアがEU加盟を果たした。今もアルバニア,マケドニア,モンテネグロ,セルビア,トルコが加盟候補国として立ち並んでいる。

英国政府統計局が発表した国籍別英国在住外国人数(2014年)によると,ポーランドが85万3,000人と首位で,第2位のインド36万5,000人を大きく引き離す。ポーランド国籍の移民が突出して多いことがわかる。それだけに憎悪の矛先がポーランド人に向けられ,害虫といった表現でポーランド人を排外,差別する社会問題が英国社会を揺さぶる。

以下,第3位アイルランド33万1,000人,パキスタン21万人,ルーマニア17万5,000人と続く。バルカン半島に位置するルーマニアからの移民も多いことも示している(2)

もちろん移民労働者は英国経済の具体的な貢献者,納税者ではある。大英帝国時代からありとあらゆる人材,人種が英国に渡り,定住してきた。この多様性が英国社会に活力を与え,経済発展の担い手を演じてきた。歴史的にも移民労働者が英国経済の一端を支えていることは間違いがない。

しかし,その一方で,英国人の雇用が失われ,失業問題を引き起こしているとすれば,英国人にとっては由々しき社会経済問題となる。移民に職場を奪われるとの恐怖感が先行し,勢い,その怒りが移民に向けられてしまう。

今回のEUからの離脱か,残留かの是非を問う国民投票では,このような移民問題が焦点の一つとなった。この移民問題の根源がEUの掲げるヒト,モノ,カネ,情報の自由移動というルールにあると英国人は理解した。

確かに英国は欧州の単一通貨ユーロを採用していないと同時に,ヒトのEU域内自由移動を保障するシェンゲン協定(1995年発効)にも締結していない。英国は国境管理が国家主権の中核だと主張,シェンゲン協定には参加せず,独自の入国管理に固執してきた。一方で,欧州大陸では難民や不法移民が急増し,シェンゲン協定の理念は大きく揺らいでいる(3)

その延長線上に国民投票の実施が浮上,キャメロン前首相が国民投票に打って出る。キャメロン前首相の政治生命を賭けた大勝負でもあった。

 
   

国民投票の意味づけは一般にこのように認識されている。むろん正しい認識ではあるが,表向きの事情,一側面に過ぎない。

実は,この国民投票には姑息な政治的仕掛けが潜んでいる。英国独立党(UKIP)はEUからの離脱を党是として旗揚げされたが(党首だったファラージュ氏は2016年7月4日に辞任を表明),与党保守党も野党労働党も政党としての統一見解を打ち出せていなかった。保守党内も労働党内も離脱派と残留派に分裂している。ただ,議会全体ではEU残留派が優勢だった。

概して,エリート層,エスタブリッシュメント(支配階級)はEU残留を希望しているとされる。ここに昨今の移民問題が注入されて,一般大衆・労働者と支配層とが対立する構図が描かれた。また,大英帝国へのノスタルジーを背景に中高年層はEUからの離脱を支持した。ドイツがEUを事実上牽引すること,すなわちドイツが実質的にEUを支配することから,ドイツ嫌いが反EUを助長した面もある。

EUの司令塔が鎮座するベルギーの首都ブリュッセルの官僚機構に権限が集中,加盟各国から改革の必要性が突きつけられていることも事実だ。ブリュッセルから主権を取り戻そうとする主張は必ずしも的を射抜いていないわけではない。欧州大陸の小国がかつて七つの海を支配した英国に指図することに耐えられなかった風潮も絡む。

こうした英国民のさまざまな感情を巧みに操ったのが政治家。キャメロン前首相と同じく保守党のボリス・ジョンソン前ロンドン市長は盟友同士だったにもかかわらず,首相の座を射止めたかったジョンソン氏がキャメロン前首相に反旗を翻す。その手段として国民投票が駆使された。

ジョンソン氏が離脱派を率いる一方,政治基盤が脆弱なキャメロン前首相は国民投票を活用して,政治基盤の強化を狙った。キャメロン前首相とジョンソン氏との確執,すなわち権力闘争が国民投票に投影されていく。要するに,国民投票が悪用され,政治的支配層に一般大衆が翻弄されたわけである。

この意味で今回の国民投票は大いなる偽善であり,茶番でもある。

事実,離脱派の急先鋒だったジョンソン氏は保守党の党首選挙に出馬しないと明言,権力闘争レースから早々に脱落した。無責任きわまる,ジョンソン氏の不出馬発言に保守党内の離脱派は凍てついた。キャメロン前首相の最有力候補が抜け落ちたことで,党首選は混沌とする様相を呈していく。

労働者は移民排斥へと傾き,中高年層は嫌ドイツ感情をむき出しにする。支配階級や金融資本主義に対する反感も相まって,国民投票では離脱派が優勢となった。斜陽産業にしがみつく労働者は離脱に1票を投じ,グローバル金融の恩恵を受ける層は残留に1票を投じた。

しかし,国民投票後,離脱に投票したことを後悔する市民が続出,EUが何なのかを知らなかった市民がいたことも露呈するなど,国民投票後の英国社会は騒然としている。離脱派が離脱後の英国社会を展望できないでいることも事実である。

英国人の国民感情は別として,英国がEU加盟で得た果実がきわめて大きいことは誰もが認めざるを得ない。経済のグローバル化に背を向けられないことは英国人自身が痛感しているだろう。大英帝国時代,英国にはさまざまな外国人労働者が流入し,英国社会に浸透した。この多様性が英国社会の個性であり,強みでもあった。この歴史にピリオドが打たれることは想定できない。程度の差こそあれ,英国社会は常に移民問題と向き合っていかねばならないのである。

 
   

そもそも国民投票には法的な拘束力はない。壮大な世論調査とでも形容できる。1年前,民主主義発祥の地とされるギリシャでユーロ圏が突きつける緊縮財政を受け入れるか,拒否するかを問う国民投票が実施された。国民投票の結果は拒否するであったが,ギリシャ政府は国民投票の結果を無視,緊縮財政を易々と受け入れた。

議会制民主主義を生んだ英国でも同様に,議会(ウェストミンスター)ではEU残留派が主流,つまり議会制民主主義(議会主権)の声は残留であることから,議会が離脱を決めた国民投票の結果を無視することは可能である。英国議会ではメイ新首相が就任した。

英国議会では早晩,新たな首相が選出され,就任する。EU当局から英国に有利な条件を引き出し,EUが英国に譲歩したことを理由に国民投票を再度実施することは可能だ。EU当局が非公式の交渉を拒否した場合は,英国政府がEUに離脱の意思を通告しなければ,離脱交渉は始まらない。交渉が開始されなければ,英国のEU離脱は永遠に決まらない。

国民投票後の混乱を斟酌すれば,再投票に漕ぎ着けることができれば,残留派が勝利するに違いない。英国がEUに留まり続ける道が閉ざされたわけではないことを特記しておきたい。

 
 


連合王国(グレート・ブリテン)解体の危機

英国北部にあるスコットランドが2014年に実施された住民投票で英国からの独立を思いとどまった大前提条件は,英国がEUの加盟国であることだ。英国がEUから離脱する事態となれば,スコットランドは再び英国から独立する道を模索するようになるだろう。

スコットランド行政府のスタージョン首相はスコットランドがEUにとどまる方針を言明,EU当局に単一市場への確保を訴えている。もちろんEU側はスコットランドのEU残留には慎重な姿勢を崩していない。あくまでも英国政府との交渉を優先する方針に徹している。

また,スコットランドが首尾良く英国からの独立を果たしても,EUに加盟し続けることができるかどうかの保障はない。スコットランド企業にとっても通貨ポンドを共有できる英国市場を最優先するだろう。加えて,スコットランドの最大取引先は英国であり(2014年実績で490億ポンド),最大輸出国は米国である(同じく40億ポンド)(4)。現実を直視すれば,安易な独立はスコットランドにとっても得策ではない。

スコットランドには英国で唯一の核兵器基地がある(5)。スコットランドが英国から独立すれば,英国の安全保障は格段に低下する。

連合王国の一角を占める北アイルランドが隣国アイルランドとの国家統合へと舵を切るかもしれない。

そうなると,残されるのはイングランドとウェールズのみ。さらに驚くことに,首都ロンドンが英国から独立する動きにまで発展している。こうなると,連合王国は事実上,解体されてしまう。当然,英国の国際的地位は地に落ちる。


英国の景気後退

眼前に広がる光景が通貨ポンドの急落。国民投票直後,開票が進むにつれて,ポンドは叩き売られた。ポンドは31年ぶりの安値圏に沈んでいる。ポンドの下落がユーロ安を誘発し,安全資産の日本円,スイスフラン,金(ゴールド)に資金が大量流入した。

スイス国立銀行(中央銀行)は躊躇なく為替介入に踏み切った。急激な円高を嫌気して,東京証券取引所で売買される日本株が売り浴びせられたことは記憶に新しい。その後も円高懸念は払拭されていない。日欧米の株式市場では金融株が格好の売り対象となった。世に言う,暗黒の金曜日である。

ポンドの下落が意味することはEU離脱後の英国経済の先行き不透明感,不確実性の高まり,景気後退懸念である。特に,不動産市況の悪化懸念が高まっていることを示唆している。商業用不動産に投資されてきた外国資金が引き揚げられると,不動産価格は急落する。金融機関の不良債権が急増して,信用収縮を招いてしまう。不動産市場の停滞は建設活動に悪影響を及ぼす。英国を取り巻く経済環境が大幅に変化わけだから,経済調整の局面を迎えるのは当然の帰結だろう。

景気後退に陥ってしまうと,否応なく失業者が増え,所得が減少する。そうなると,債務の返済が滞ってしまう。これもまた金融機関の不良債権が増大する原因となる。

ポンド安が定着すると,英国経済は輸入インフレに見舞われ,物価が高騰する。インフレを阻止すべく,イングランド銀行(中央銀行)が利上げを余儀なくされれば,金利が上昇して資金調達コストが跳ね上がる。

企業や金融機関の事業活動が停滞することから,英国政府の税収入は激減。市民サービスが低下し,結局,一般市民の日常生活に支障が生じる。離脱派が主張してきた英国社会は決して実現しない。財政赤字と経常赤字が増えることで,英国は対外借り入れを増やさなければならなくなる。これが新たなポンド安を誘発する。

外資系企業・金融機関だけでなく,英国企業も英国からの逃げ足を速め,英国経済は完全に空洞化してしまう。高度なスキルを備え持った優秀な人材ほど英国の経済社会を見限り,脱出するだろう。当然,資金も流出する。

不動産価格の大暴落しでゴーストタウンが続出するだろう。実際,不動産を投資対象とする不動産投資信託(REIT)の指数が国民投票後に急落。投資家は景気悪化に身構えている。英国がEUを離脱することになれば,金融機関や法律事務所,それにコンサルタント会社などが英国外に流出する懸念で,英REITから資金が流出したことを物語っている。

英国の経済規模は縮小の一途をたどり,英国病が再発する可能性すらある。

このような先行き懸念を背景に,政府も中央銀行も対策を打ち出している。中央銀行が銀行規制の強化を凍結する一方,オズボーン前財務相は法人税率を現行の20%から15%以下に引き下げる方針を明らかにしている。欧州での最低水準はアイルランドの12.5%であることから,この水準に近づくことになる(6)

無論,法人税率を引き下げたからといって,状況が好転するとは限らない。必要な対策は適切な財政政策と金融政策である。社会保険料の負担を軽減し,付加価値税(VAT)率を引き下げる措置は不可欠だろう。政府が住宅建設の先頭に立ち,建設部門,不動産部門をてこ入れすることも必要である。金融緩和も同時進行させなければならないことは言うまでもない。イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は金融緩和策を示唆している。


国際金融街シティーの凋落

首都ロンドンにあるシティーは米ニューヨークのウォール街とともに,グローバル金融のハブとしての重要な役割を演じている。外国為替取引全体の4割を占有する。また,国際債券の発行で群を抜く。ここでは世界各国から銀行家,投資家,コンサルタント,建築家,ソフトウエア開発者といった高度なスキルを持ち合わせた人材が集積する。シティーはニューヨークと2強の構図を形成してきた。

シングル・パスポート制度(英国で金融業の免許があれば,EU全域で通用)の下,世界の金融機関がシティーに集積する。しかし,EU離脱となれば,状況は一変。EUを離脱した英国のロンドンでユーロの決済業務を実施すると論理矛盾に陥ってしまう。決済地の変更は余儀なくされるだろう。

当然,シングル・パスポートは通用しなくなる。業務移管のために金融機関が欧州大陸へと大量流出すれば,シティーの国際金融機能は損なわれてしまう。シティーの地盤沈下は避けられない。金融立国を標榜した英国の戦略は曲がり角を迎える。

シティーが地盤沈下する一方,欧州中央銀行(ECB)があるドイツのフランクフルトや英語圏という強みを備えるアイルランドのダブリンが浮上してくるかもしれない。それでも総合力が分散されることから,ニューヨーク1強が際立つ公算が大きくなる。

 
   

英国のEU離脱交渉を開始するためには,英国政府が公式に欧州理事会(EUの最高協議機関)に離脱の意思を通知しなければならない。リスボン条約50条がこれを規定している(7)。ただ,英国政府は離脱通知を急がず,まずは英国内の準備を優先するだろう。

英国内の準備や利益を優先するのであれば,欧州理事会に離脱を通告するとしても2016年末以降にずれ込むだろう。通告しないと離脱のカウントダウンは始まらない。EU残留派が議会を主導することから,離脱通告が宙に浮く可能性を否定できない。

仮に離脱交渉が開始されたとしても,英国がEUから離脱するのはEU法が適用されなくなる2年後になる。ただ,脱退協定がEUとの間で締結されれば,協定の発効日からEU法は適用されなくなる。

英国のEU離脱の行方は依然として不透明だ。

 
   

現実に英国がEUから離脱する事態となれば,英国はEUと新たな通商関係を構築していかなければならない。つまりEU市場との関係再構築である。EU単一市場へのアクセスをどのように確保するのか。新たな市場アクセス手段を模索する必要性が生じる。EU法が停止する以前にEUと新協定を締結する必要がある。

その参考事例は複数存在する(8)

第一に,欧州経済地域(EEA)への参加。ノルウェー,アイスランド,リヒテンシュタインといったEU非加盟国はこのEEAに参加,EU全28カ国とともにEEAを形成する。欧州に統一自由貿易圏という位置づけだ。EU単一市場にアクセスできる権利を保有する。

非関税障壁が残存するものの,大半の関税は撤廃されている。ヒト,モノ,サービス,資本を自由に移動できるほか,教育,環境,観光,消費者保護など広範な分野で協力する。実質的にEU法に準拠する。EU政策の意思決定には参加できない反面,対EU拠出金は負担しなくてはならない。

英国としては,EUを離脱するものの,EEAには残留するという選択肢がある(9)

第二に,個別協定を締結する方法である。EUに加盟しない,すなわち単一市場アクセス権を享受しないスイスは,分野ごとにEUと協定を結んでいる。スイスは欧州を代表する金融大国,観光大国ではあるけれども,長期にわたってEUと独自関係を築いてきた。それはもはや壮大な歴史,現代史でもある。英国が今からこのスイス方式を模倣するには,途方もない時間とコストを要する。

第三に包括的協定の道を模索するカナダ方式。カナダはEUと工業製品の関税撤廃などを盛り込んだ包括的経済・貿易協定(CETA)を結んでいる。カナダ方式の場合,EUに納入する拠出金負担はない。

いずれの方式でも多大な時間とコストを要することだけは間違いがない。英国は欧州共同体(EC)時代から,欧州諸国と戦後の新経済秩序をともに形成してきた。英国のEU離脱でこの歴史的な蓄積が一夜にして雲散霧消することはない。だが,歴史的な蓄積の一部分が崩壊することは明らかである。EUの統合プロセスは一時的に中断されるだろう。と同時に,EU離脱は英国にとって後退を意味する。賢明な英国人が後退を受け入れられるだろうか。

 
   

1,000社近くに達する日系企業が英国に進出しているとされる。直接投資残高も2015年末時点で10兆円に及ぶ(10)。特に,エネルギーインフラ・交通インフラ分野の受注額は桁外れに大きい。こうしたインフラ輸出には政治の後押しが不可欠。ポスト・キャメロンの英国が日系企業にどのように対応するかはまったくの未知数である。不透明感を払拭できないまま,日系企業は英国,ひいては欧州戦略を練り直さなければならない。

日系企業はこぞって情報の収集に血眼になっていることだろう。企業家も投資家も先行きが不透明な状況をもっとも嫌う。英国のEU離脱で企業法務の変動は避けられない。

ただし,日本の実体経済への影響は限定的だろう。悪影響は為替市場を通じて実体経済に及ぶ。投資家のリスク回避姿勢が継続して円高が定着すると,日本企業の輸出部門が打撃を被る。リーマン・ショック(金融危機)後の日本経済が円高に苦しめられたことは周知のとおりである。

追加金融緩和と思い切った財政出動で円高を食い止め,悪循環を断ち切れるか。英国と同様に日本も正念場を迎えている。

 

(1) Financial Times, June 24, 2016.

(2) 『日本経済新聞』2016年6月30日号。

(3) 『日本経済新聞』2016年7月1日号。

(4) Financial Times, July 2, 3, 2016.

(5) 『日本経済新聞』2016年6月30日号。

(6) 『日本経済新聞』2016年7月4日号。

(7) 『日本経済新聞』2016年6月29日号。

(8) 『日本経済新聞』2016年6月27日号。

    Financial Times, June 25, 26,2016.

(9) 『日本経済新聞』2016年7月2日号。

(10) 『日本経済新聞』2016年7月3日号。

 
   
 







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